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〜感情に左右されない投資を〜

(3679)じげんの決算資料から学ぶビジネスモデル

じげんのビジネスモデルはリクルートと重なりますね。

つまり、じげんも人材、不動産、生活メディアを運営している会社です。

あとはM&Aに積極的なところも似ていますね。手法はだいぶ異なるイメージですが(後述します)。

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引用:http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80135/c1ddc4da/1a58/4dfc/8da1/51ed1f48f075/20180511150915816s.pdf

 

じげんとしては大手(リクルート等)と重複している現状で成長が可能なのか非常に気になります。

そもそもじげんの平尾社長は元リクルートの社員です。

学生起業家として名を馳せ、リクルートに就職し、そこでじげんの前身を経営を経験。

その後、MBOなどを経て今に至る。

現在、35歳と若き秀才です。

 

じげんを取り上げるのは「株価がものすごい上がりそうだから」という理由よりは、ビジネスモデルを学ぶ上で参考になると思いました。

時価総額1000億円の企業ですから、中小型銘柄の中では値動きも軽くないでしょう。

従業員(アルバイト含む)も400人以上いるそうですから一概にベンチャー企業とも言えませんね。

短期間で値幅を取りに行くというよりは、中長期の成長に期待する企業に分類されると考えます。

 

IT分野に疎い私のような人間であれば、このようなビジネスモデルは小売業などよりも「何をどうすれば収益が上がるの?」と困惑してしまいます。

ただ、じげんの決算資料は、個人投資家に対して非常に親切な内容だと感じます。

シンプルイズベストは投資にも当てはまります。

ビジネスモデルが複雑な企業ほどシナリオを立てることが難しいです。

それは、私たちが把握できない要素が多いほど予期せぬ事態を招くためです。

「正直、何の企業かわかっていない」

「何をどうすれば成長に寄与するのかわからない」

このような状況であれば、投資対象から外される可能性も高く、投資をしても握力を強く保つことが困難です。また、ファンダ的な損切り、利益確定のポイントも決められません。

 

ただ、物を持たないビジネスモデルは実物を販売する企業よりも内容がわかりにくい反面、成長スピードは早いと考えます。展開が早いですよね。

じげんに投資をする、しない関係なしに個人投資家にとって参考になるところが多いと思います。

もちろん、実際に株式投資をしないとモチベーションが上がらないので、私はこの銘柄に投資をしておりますが、このブログに投資の推奨目的はありません。

投資は自己判断・自己責任でお願いします。

 

じげんはどんな企業なの?

・銘柄コードは3679

・2013年マザース上場(現在、東証一部目指すと発表)

・オーナー企業(社長個人&社長の資産会社)

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引用:https://shikiho.jp/tk/stock/info/3679

 ※平尾社長は持分を減らす旨を発表済みです(65.6%→49.9%)。

トップの座は変わらず、これは、東証一部に移るためのステップと考えます(流通株の比率増加)。

 

・貸借銘柄(倍率は約4倍)

時価総額1000億円ほど

・業種は情報通信(内容は専門検索サイト)

・11期連続最高益の見通し

・安く仕入れるM&Aが得意(結果的にPMIも)

・株主意識の資本政策に積極的

IFRS移行

・22日平均の売買代金は8億円ほど

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 ※上記の様々な数字は2018年5月17日お昼現在の情報。

 

ビジネスと経営のポイント

主要ビジネスは、リクルート的な求人サイト、不動産サイトや旅行サイト(生活)の運営です。

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運営サービスの一部

 

下記は、人材のビジネスモデルの図です。他の分野も大枠は似ているので割愛します。

※特筆すべき人材分野の特徴には「掲載報酬型」と「成果報酬型」の両輪を持つことで景気変動に左右されないモデルを作り上げていることでしょうか。

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引用:http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80135/c1ddc4da/1a58/4dfc/8da1/51ed1f48f075/20180511150915816s.pdf

 

下の図をご覧ください。成長率も利益率も高いビジネスモデルといえます。

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引用:http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80135/c1ddc4da/1a58/4dfc/8da1/51ed1f48f075/20180511150915816s.pdf 

上記のように利益率やROEを目標設定する企業には好感を持てます。

それに、成長率・利益率・ROEのどれもが25%以上を目指し、ほぼ達成している現状は評価できます。

 

多くの企業は掲げていますが、利益率・ROE等の目標を株主に示さない企業は明確な目標値を株主と共有する姿勢がないということです。

現代においてROEの意識が低い企業は、株主としてはマイナス評価です。ROEの高さが私たち株主の資産増加に繋がると考えています。

中期目標にこれら目標を掲げる企業は多いですが、計画だけ掲げておいてないがしろにする企業もあります。ぜひ保有株、注目株のIRをチェックしてみて下さい。

 

下記は「人材」、「不動産」、「生活」の各分野の収益推移を表しています。

各分野ともに売上収益が30〜49%と前期からの伸びが素晴らしいです。

資料内の上段二つの図は、直近3期の収益推移を表し、下段の表は「成績表」のようなものです(KPIの意味は後述)。

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引用:http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80135/c1ddc4da/1a58/4dfc/8da1/51ed1f48f075/20180511150915816s.pdf

 

 KPIという言葉は決算資料でよく目にしますね。

コトバンクによると「KPIとはkey performance indicator の略で、企業目標の達成度を評価するための主要業績評価指標のことをいう。」とのことです。

企業はビジネス毎の目標を掲げ、それの進捗度を測る必要がありますが、それを株主も丁寧に見ていくことで計画が上手くいっているのか、停滞しているのか確認できます。

KPIのチェックは投資家としても重要と考えます。

大枠で売上や利益だけを確認していっても良いのですが、何が全体の成長に貢献し、反対に何が足を引っ張っているのか、を確認できた方が一層に実情が見えてきます。

 

ただ、このKPIなどと英字で表記されるビジネス用語を見ると私は頭が痛くなります。

ネットビジネスには特に英字のそれらが多用されるイメージです。

以前にマネーフォワードの時には「Saas」について触れましたが、あれこれ覚えようとすると疲れますね。

でも、どれも表記をカッコつけているだけで、用語を言い換えて読めば容易に理解できると思います。

ここで一度、IRがわかりやすいじげんの決算説明会資料でビジネスモデルを学びたいと思います。

 

さて、上記のカラフルな決算資料の下段をもう一度見てください。

じげんは人材・不動産・生活の分野毎のKPI評価を記号(◎など)で表しています。

もちろん数字も掲載されていますが、このようなビジュアル的に見やすく理解しやすいようにアレンジされていると苦手意識なく見ることが出来ます。

 

さて、じげんが今後も一段と成長していくのかどうか、何をチェックすれば良いのでしょうか。

ディアビジネスの仕組みとして、ユーザー数と売上収益の関係を把握することは重要です。

売上を導くために、「ユーザー数」と「ユーザー当たりの売上」を掛け合わせます。

ユーザー数×ユーザー当たりの売上=売上

 

ユーザー数とは言い換えればサイトへの訪問者の数です。

どれぐらい訪問者がいて、彼らがどれくらい売上に貢献してくれたのか。

この式は、ヤフーやFaceBookなどの広告ビジネスの売上を把握する上でも用いられる式ですので、ご存知の方も多いと思います。

 

そして、じげんにおいては「ユーザーあたりの売上」 をもう少し分解しています。

下記の決算説明会資料(6ページ目)をご覧ください。

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引用:http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80135/c1ddc4da/1a58/4dfc/8da1/51ed1f48f075/20180511150915816s.pdf 

ユーザーあたりの売上を、コンバージョンレートとコンバージョン単価の要素に分けています。

コンバージョンは「運営側がユーザーに期待する行動に応じてくれること」を指します。

例えば、お土産屋さんでは「お土産を買ってもらうこと」がコンバージョンと言えます。

 

少し細かいことを言うとコンバーションの定義は様々です。

リアルな店舗のコンバージョンは、もちろん物を買ってもらうことなのでしょうが、ネットビジネスの場合は、問い合わせをもらうことであったり、広告を踏んでもらうことであったりと様々です。

そして、コンバーションレートはその達成の割合です。

 

ユーザーあたりの売上の内容もこのように詳細な要素に分けていくことで、より改善のための施策が見えてます。

 

そして、上記の資料の右の図は、その施策の詳細です。

どうすればユーザーは増えるのか?どのような施策でコンバージョンレートと単価は改善できるのか?

これらを叶えるための方法を記しています。

 

施策はどこの企業も示しますが、じげんは私みたいな素人にもわかりやすく記載してくれているのでスムーズに頭に入ります。

自社のビジネスモデルや項目ごとの目標とその進捗状況を公開し、達成するための施策をわかりやすく記載する、これは当たり前のようですが、どの企業のIRも同様に出来ているとは思えません。

 

『目標達成のための因数分解、そして具体的な施策』

全体目標を表記する企業は多いですが、内容を株主にも従業員にも理解できるよう共有する企業は多くありません。

成長し、企業規模が大きくなる中では、一人一人の従業員が企業成長に貢献していく意識が薄くなります。それは全体目標に自分の日々の業務がどれほど貢献しているのかが分かりにくいからと考えます。

それらを理解しやすく経営側が示せる企業は、従業員のモチベーションも高いと考えられます。規模が拡大していく中でも成長を期待できます。

 

最後にM&Aについて少しだけ。

冒頭でも申し上げましたが、じげんはM&Aが得意といえます。

ただ、ソフトバンクリクルートM&Aとはタイプが異なります。

この2社は「ARM」や「Indeed」の買収といった大胆なM&Aを行いましたが、じげんは地道なM&Aが多い印象です。

例えば、ソフトバンクのARM社の買収はARM社の売上(年平均)の20倍近い金額で買収したと言われています。

M&Aを考える上では、このような「マルチプル(倍率)」は一つの参考指標となります。

じげんはこのマルチプルが小さい買収が多いです。

 

上場した2013年11月から今年の4月末まで10件も実際に買収を行なっていますが、総額が90億円程度と、規模感もまた小さいですね。

ちなみに、リクルートIndeed買収は約1000億円と言われています。

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引用:http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80135/c1ddc4da/1a58/4dfc/8da1/51ed1f48f075/20180511150915816s.pdf

どちらの手法が優位かはわかりませんが、リクルートもじげんも規模感は違えどM&Aを上手に活用できている印象はあります。

ただ、じげんの場合は売上マルチプル2倍や3倍といった割安な買収に徹しており、そこからスピーディーな経営統合(PMI)を行い継続した成長を達成しています。

規模感の小さい買い物といえばネガティブですが、割安に企業を買収し、規模感が小さいだけに自社への実質的な取り込みが早いというポジティブな評価もできます。

また、M&Aには「のれん」のリスクが伴いますが、企業の実状に上乗せするプレミアムが小さければのれんの影響は小さくなります。

そもそもじげんは、会計基準IFRSに切り替えています

M&Aを活発に行う企業であればこれは正解と考えられます。

もちろん、それでも軌道に乗せられなければ「のれん」の影響は発生するので、割安な買い物が重要といえます。楽天の失敗を見ればよくわかる話です。 

「割安なM&A・スピーディーなPMI」はじげんの武器といえます。

今後もM&Aに積極的な姿勢を示す当社の成長には期待できます。

中期経営計画では、20年3月期に営業利益51億円以上の達成を掲げています。

18年3月期が33億円ほどなので、堅調な成長シナリオですが、ここにも注目ポイントがあります。

それは、この目標は今後のM&Aや新規事業から生まれるプラスを織り込んでいないという点です。

つまり、既存の高収益の事業を運営し続けることで51億円以上の利益達成を目指します。それに加えてM&Aによる業績の押し上げ効果が発生するようであれば、一段の成長加速が可能です。

 

長くなりましたがここで終わりにします。

ぜひ実際の決算説明会資料をご覧ください!

また、「のれん」や「IFRS」の話がわかりにくかった方は、最後に関連記事を貼っておきますのでご覧ください。

私も一個人投資家ですので、ブログには誤った内容があるかもしれませんのでご了承下さい。

投資は自己判断・自己責任でお願いします。

ご覧いただきありがとうございました。

 

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